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デイン・ドナヒュー『デイン・ドナヒュー』

デイン・ドナヒュー『デイン・ドナヒュー』
デイン・ドナヒュー(Dane Donohue)『デイン・ドナヒュー』(Dane Donohue)

1978年にリリースされたデイン・ドナヒュー(Dane Donohue)の唯一のアルバム『Dane Donohue』(デイン・ドナヒュー)は、アメリカ西海岸の音楽シーンにおいて“幻”と称されるAOR/ウエストコースト・サウンドの伝説的作品です。

『デイン・ドナヒュー』のコンセプトと音楽性

『Dane Donohue』は、“都会の裏通りと光と影、孤独と憂愁が交錯する時間”をテーマにした一種のコンセプト・アルバムといえます。
感傷に浸りながらも苦悩し続ける主人公の物語を、アルバム全体を通して描いています。
ドナヒュー自身がオハイオの田園からロサンゼルスへと辿った人生経験が色濃く影響を与えています[1]。

音楽的には、ローレル・キャニオン発祥のシンガー・ソングライター的なメロディやリリックを基盤としつつ、70年代後半のAORや“ヨット・ロック”を象徴する洗練されたアレンジ、フュージョンやファンク、ジャズの要素が絶妙に融合されています。
聴くごとに「ジャクソン・ブラウン的」「イーグルス的」な側面も発見でき、一方でラテンやブルースのニュアンスまで顔を覗かせる多様性が特徴です[3]。

サウンドの特徴と魅力

サウンド面では、当時の新しい録音技術と最先端のセッションプレイヤー陣が織り成す分厚く、しかもきめ細やかなプロダクションが最大の魅力です。
ドナヒューの歌声は、ナッシュビル系のカントリー・テイストとブロードウェイ的なドラマ性を兼ね備え、メロウかつ力強い個性的なトーンが楽曲全体をリードしています。
エレクトリックピアノやクラヴィネット、緻密なコーラスワークが曲ごとに異なる世界観を広げ、サックスのエルニー・ワッツによるソロや、華やかなホーンのアレンジもサウンドを彩ります[2]。

制作エピソード

本作の制作には数多くのドラマがありました。
当初は有名プロデューサー、ロジャー・マザーとの共同作業でしたが、方向性や曲選びで衝突し一度制作が頓挫。
仕切り直してテレンス・ボイランを迎え、キーボード奏者のジャイ・ウィンディングらと共に新たな制作が始まります。
制作現場はロサンゼルス随一の一流スタジオ(ウエストレイク・スタジオ)で、当時“スティーリー・ダン”や“フリートウッド・マック”といったトップバンドのツアー・メンバーやセッション・プレイヤーたちが集結しました[4]。

レコーディングの日々は完璧を目指す緊張感に満ちており、ステヴィー・ニックスやドン・ヘンリー、J.D.サウザーらがコーラスで客演。
ドナヒュー自身が「なぜここに自分がいるのか不思議だった」と語るほど豪華面々でした。
一方で、プロデューサーとの対立、アレンジを巡る葛藤や思いがけぬ進行もあり、ジェイ・ウィンディングが“プロジェクトの糊”として各セッションをまとめ上げました[2]。

参加ミュージシャン

  • ギター:ラリー・カールトン、スティーヴ・ルカサー、ジェイ・グレイドン
  • ベース:チャック・レイニー、ボブ・グラウブ、マイク・ポーカロ、ジェフ・ディアンジェロ
  • ドラム:エド・グリーン、スティーヴ・ガッド、アンディ・スミス、デヴィッド・ケンパー
  • キーボード:ジェイ・ウィンディング、デヴィッド・ゲトロー
  • パーカッション/サックス:ヴィクター・フェルドマン、アーニー・ワッツ
  • コーラス:スティーヴィー・ニックス、ドン・ヘンリー、J.D.サウザー、ビル・チャンプリン、ティモシー・B・シュミット、トム・ケリー 他[5]

当時の「スティーリー・ダン」や「イーグルス」関連のメンバーが軒並み参加している点は特筆に値します。

トラック・リスト

Side 1

  1. カサブランカ(Casablanca)
  2. ダンス・ウィズ・ザ・ストレンジャー(Dance With The Stranger)
  3. 想いを馳せて(What Am I A Supposed To Do)
  4. 女(Womann)
  5. 去り行く君(Where Will You Go)

Side 2

  1. フリーダム(Freedom)
  2. 煙に消されて(Can't Be Seen)
  3. 突然の出来事(Whatever Happened)
  4. トレイシー(Tracey)
  5. コングチュレイションズ(Congratulations)

発表時の反響とその後

1978年9月に発売されると地元オハイオでは完売し、全米でも好評を得ましたが、ビルボード“Top Singles Pick”入りするも大ヒットには至りませんでした。
理由としては、全米がディスコ・ブームの真最中であったこと、大規模なコンサートツアーやバンド体制によるプロモーションを行わず、現地ラジオや新聞でのインタビュー中心だったことが挙げられます。
そのため多くのリスナーの記憶から埋もれていきましたが、のちにAORコレクターや「ヨット・ロック」マニアたちが再評価し、西海岸音楽の「失われた名盤」とされています[6]。

特筆すべき逸話

  • ドナヒューは自分のアルバムやサウンドについて「まるでハンク・ウィリアムズがスティーリー・ダンをプロデュースしたみたいだ」と語っています[3]。
  • ジャケットの白い三つ揃いスーツ+タバコ姿は、ボズ・スキャッグスを意識したものでした[3]。
  • レコーディング現場でのセッション中、J.Dサウザーがドナヒューに「俺だってフェニックス出身だ。何も臆する必要はない」と声をかけてくれたエピソードや、ドン・ヘンリーの参加が直前でキャンセルされかかったものの、現場で再交渉し見事実現したという逸話も残ります[3]。

総評

当時は埋もれたものの、現在まで熱狂的な支持を集め、アメリカンAOR~ウエストコースト・ミュージックの最高峰として位置づけられています。
参加ミュージシャンの豪華さ、繊細かつ洗練されたサウンド、都会的なコンセプト、それぞれが唯一無二の作品に仕上がっています。
近年は日本でもたびたび再発・復刻されるなど、“幻のアルバム”からAORの金字塔へと評価を高めつつあります[8]。

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  1. https://tnfsagaworld.com/sagaworld-remaster-cd-review/danedonohue-danedonohue/
  2. https://expandingdan.substack.com/p/dane-donohue-interview-1978
  3. https://www.narratively.com/p/the-lost-prince-of-yacht-rock
  4. https://www.sessiondays.com/2022/12/1978-dane-donohue-dane-donohue/
  5. https://www.westcoast.dk/artists/d/dane-donohue/
  6. https://en.debaser.it/dane-donohue/dane-donohue/review
  7. https://www.insidemusicast.com/musicasts/2024/01/11-dane-donohue
  8. https://tower.jp/article/feature_item/2024/07/23/0104
  9. https://anywherestore.p-vine.jp/en/products/pcd-26122
  10. https://note.com/yuuichi2400/n/n841bb86cab1e
  11. https://y240.exblog.jp/1965927/
  12. https://thenightflyer-sagawa.blog.jp/archives/6549281.html
  13. https://www.youtube.com/watch?v=47BS-7FZ6bA
  14. https://anywherestore.p-vine.jp/products/pcd-26122
  15. https://anywherestore.p-vine.jp/en/products/plp-7517
  16. https://www.reddit.com/r/Yachtrock/comments/1fddvxg/dane_donohues_new_album_is_on_spotify/
  17. https://www.narratively.com/p/story-update-the-lost-prince-of-yacht
  18. https://music.apple.com/jp/album/dane-donohue/911543102?l=en-US
  19. https://www.dustygroove.com/item/193978/Dane-Donohue:LA-Rainbow
  20. https://x.com/realdanedonohue
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