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ジョージ・ハリスン『33 1/3(サーティ・スリー・アンド・ワン・サード)』

ジョージ・ハリスン『33 1/3(サーティ・スリー・アンド・ワン・サード)』
ジョージ・ハリスン(George Harrison)『33 1/3(サーティ・スリー・アンド・ワン・サード)』(Thirty Three & 1/3)

『Thirty Three & 1/3』(邦題:33 1/3)は、ビートルズ解散後のジョージ・ハリスン(George Harrison)が、行き詰まりと混乱を抜けて“再起”を遂げたアルバムとして1976年にリリースされた作品です。
彼のソロ第7作にして、自身のレーベルであるダーク・ホース・レコードからの最初のアルバムという点でも、キャリアの節目を示す一枚だと言えます[1]。

タイトルとコンセプト

タイトルの「Thirty Three & 1/3」は、LPレコードの回転数33 1/3回転/分を示すと同時に、制作当時のジョージ自身の年齢(33と1/3歳)をかけたものとされています。
スピリチュアルな象徴をタイトルに忍ばせがちなジョージにしては、やや洒脱でセルフ・パロディ的なニュアンスをもつコンセプトです[2]。

本作は、訴訟や体調不良といったトラブル続きの時期を背景にしながらも、全体としてはユーモアと軽やかさが前面に出た“晴れやかな”アルバムとして語られます。
深刻な内省よりも、恋愛、敬愛するミュージシャンへのトリビュート、日常の観察などがテーマの中心になっていることが特徴です[3]。

音楽性とサウンドの特徴

サウンド面では、ソウル/R&B的なグルーヴを強く取り入れた、非常にスムースで洗練されたポップ・ロック作品と評されています。
数作前の『All Things Must Pass』のような壁のようなサウンドではなく、リズムとコーラスがスッと耳に入ってくる、抜けの良いプロダクションが印象的です[1]。

「Pure Smokey」のようなスモーキー・ロビンソンへのトリビュート曲には、ジョージのソウル愛がそのまま投影されており、管楽器やエレピを配したアレンジが“ジョージのソウル・アルバム”とも呼ばれる所以になっています。 
「This Song」や「Crackerbox Palace」では、軽快なテンポ、タイトなリズム・セクション、ホーン・アレンジが絡み合い、当時のアメリカ西海岸的なポップ/フュージョンの香りさえ漂います[3]。

制作背景とエピソード

レコーディングは1976年5月から9月にかけて、ジョージの自宅フライアー・パークにあるスタジオFPSHOTで行われました。
録音の途中でジョージは肝炎を患い作業が中断するなど、制作過程そのものは決して順風満帆ではありませんでした[1]。

同じ頃、1970年の大ヒット曲「My Sweet Lord」がザ・チフォンズの「He’s So Fine」に“酷似”しているとされた著作権侵害訴訟で不利な判決が出ており、そのストレスが本作にも色濃く影を落としています。
それに対する皮肉と自己パロディが「This Song」で、歌詞もプロモーション・ビデオも、ポップスにおける「盗作」概念を茶化した内容になっていました[3]。

曲作りそのものは、カリブ海のヴァージン諸島でのバカンス中に進められ、モンティ・パイソンのエリック・アイドルら友人たちと騒がしく過ごした時間が、アルバム全体のユーモラスなトーンにもつながっていると伝えられています。
「Crackerbox Palace」は、コメディアンのロード・バックリーのマネージャーとの出会いから生まれた曲で、このあたりにも60年代終盤~70年代のカウンターカルチャー人脈が垣間見えます[2]。

参加ミュージシャンと演奏陣

本作に参加したミュージシャンは、ほぼ全員がアメリカ人の熟練プレイヤーで固められており、ここがサウンド面の大きな鍵になっています。
ベースのウィリー・ウィークス、ドラムのアルヴィン・テイラーをはじめ、キーボードにはリチャード・ティー、デヴィッド・フォスター、さらに旧知のゲイリー・ライトやビリー・プレストンが参加しています[2]。

ホーンとフルート、リリコンを担当するのはトム・スコットで、彼はプロダクション面でもジョージを強力にサポートしました。
ジョージ自身はもちろん、リード/リズム・ギターに加え、シンセサイザーやパーカッション、コーラスなど多くのパートを自ら手掛け、宅録スタジオの主として作品全体をコントロールしています[1]。

なお「This Song」では、エリック・アイドルが「声」で参加しており、コメディ色を一層強めています。
こうした布陣によって、ロック、ソウル、ポップス、軽いフュージョン感覚が自然にブレンドされた、76年という時代を象徴するようなアンサンブルが実現しています[3]。

  • ジョージ・ハリスン(George Harrison):ボーカル、エレクトリックギター、アコースティックギター、シンセサイザー、パーカッション、バックボーカル
  • トム・スコット(Tom Scott):サックス、フルート、リリコン
  • リチャード・ティー(Richard Tee):ピアノ、オルガン、フェンダー・ローズ
  • ウィリー・ウィークス(Willie Weeks):ベース
  • アルヴィン・テイラー(Alvin Taylor):ドラム
  • ビリー・プレストン(Billy Preston):ピアノ、オルガン、シンセサイザー(「Beautiful Girl」、「This Song」、「See Yourself」)
  • デヴィッド・フォスター(David Foster):フェンダー・ローズ、クラビネット
  • ゲイリー・ライト(Gary Wright):キーボード
  • エミール・リチャーズ(Emil Richards):マリンバ
  • エリック・アイドル(Eric Idle):「This Song」の声

トラック・リスト

Side 1

  1. 僕のために泣かないで(Woman Don't you Cry For Me) - 3:18
  2. ディア・ワン(Dear One) - 5:08
  3. ビューティフル・ガール(Beautiful Girl) - 3:39
  4. ジス・ソング(This Song) - 4:13
  5. シー・ユアセルフ(See Yourself) - 2:51

Side 2

  1. イッツ・ホワット・ユー・ヴァリュー(It's What You Value) - 5:07
  2. トゥルー・ラヴ(True Love) - 2:45
  3. ピュア・スモーキー(Pure Smokey) - 3:56
  4. 人生の夜明け(Crackerbox Palace) - 3:57
  5. 愛のてだて(Learning How To Love You) - 4:13

発表時の反響と評価

『Thirty Three & 1/3』は1976年11月に発売され、アメリカではビルボード・アルバム・チャートで最高11位を記録し、ゴールド・ディスクに認定されるなど、前作『Dark Horse』『Extra Texture』よりも良好なセールスを記録しました。
一方イギリスではチャート最高35位にとどまり、同時期に勃興したパンク・ロックの波の中で、やや“時代遅れ”とみなされた側面もあったと指摘されています[1]。

シングルでは、「This Song」と「Crackerbox Palace」がアメリカでそれぞれ25位、19位とヒットし、ジョージの“ポップ職人”としての面目を保つ結果となりました。
ただしEMI/キャピトルが同時期に『The Best of George Harrison』という編集盤をリリースしたことが、オリジナル・アルバムの売れ行きをやや分散させたとも言われています[1]。

批評面では、総じて“カムバック”“再評価”の色合いが濃く、『All Things Must Pass』以来の充実作と評する声が多く上がりました。
『Billboard』誌は「陽気でアップビートなラブソングとジョークに満ちた、彼のキャリアでもっともハッピーで商業的なパッケージのひとつ」と絶賛し、ソングライティングとプロダクションの質を高く評価しています[1]。

一方『Rolling Stone』誌は、快活なナンバーのキャッチーさを認めつつも「説教臭さ」が残る点や、トム・スコット主導のサウンドを“セルロファンのように薄っぺらい”と評するなど、当時のジョージに対して依然厳しいスタンスを崩しませんでした。
しかし後年のビートルズ研究やファンの間では、本作は70年代後半のジョージを理解するうえでの“要”の一枚として、むしろ評価を高めています[2]。

特筆すべきポイント

特筆すべき点として、まず本作がジョージの新レーベル、ダーク・ホース・レコードからの初のソロ・アルバムであることが挙げられます。
ビートルズ時代から続いたEMIとの契約満了、アップル・レコードの整理という流れの中で、自作自演を自分のレーベルで出すという“自立宣言”的な意味を持っていました[2]。

また、楽曲の由来も興味深く、「See Yourself」は1967年に書き始められた曲で、ポール・マッカートニーがLSD使用を公表した際の騒動がきっかけだったとされています。
「Woman Don’t You Cry for Me」「Beautiful Girl」も60年代終盤に構想されていた素材であり、ビートルズ後期のイメージと70年代中盤の洗練されたサウンドが一枚の中で静かに共存しているのです[3]。

さらに「Dear One」は、ヨガナンダの『あるヨギの自叙伝』の著者パラマハンサ・ヨガナンダに捧げられており、ジョージのスピリチュアルな探求心が、この“ポップで明るいアルバム”の中でも静かに息づいています。
その一方で「This Song」のような自虐的ユーモア、「Crackerbox Palace」の牧歌的なナンセンス感覚が同居していることが、本作を単なる回顧作でも自己救済の暗い作品でもなく、“肩の力の抜けた成熟作”として位置づけさせていると言えるでしょう[3]。

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  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Thirty_Three_&_1/3
  2. https://www.beatlesbible.com/people/george-harrison/albums/thirty-three-third/
  3. https://www.udiscovermusic.com/behind-the-albums/george-harrison-thirty-three-and-a-third/
  4. https://beatles.fandom.com/wiki/Thirty_Three_&_1/3
  5. https://note.com/krichards/n/nd74d1913864d
  6. https://en.wikipedia.org/wiki/George_Harrison_(album)
  7. https://ja.wikipedia.org/wiki/33_1/3
  8. https://www.facebook.com/groups/478613695592616/posts/8715075515279685/
  9. https://store.georgeharrison.com/products/thirty-three-1-3-lp
  10. https://note.com/yuuichi2400/n/n3d88005e8cec
  11. https://www.georgeharrison.com/releases/thirty-three-13/
  12. https://shop.bobdylancenter.com/products/george-harrison-thirty-three-1-3
  13. https://www.universal-music.co.jp/p/571-3639/
  14. https://beatlesmagazine.com/george-harrison-thirty-three-1-3/
  15. https://www.facebook.com/100083556020287/posts/-november-19-1976george-harrison-released-his-seventh-studio-album-thirty-three-/831402896321570/
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