ジェリー・マリガン『ナイト・ライツ』を聴く
ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)『ナイト・ライツ』(Night Lights)
スポンサーリンク

ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)の『ナイト・ライツ(Night Lights)』です。
1962年9月12日と10月3日にニューヨークのNola Penthouse Studiosで録音されリリースされたのは1963年。このアルバムは、ジェリー・マリガンがリーダーを務めるセクステットによって演奏され、クールジャズの特徴である透明感のあるハーモニーとリラックスした雰囲気がある人気盤です。
プロデューサーはハル・ムーニーが務め、フィリップス・レーベルからリリースされました。

コンセプトと音楽性

『Night Lights』は、その名の通り、夜の雰囲気を見事に捉えた作品です。アルバムは洗練された「クール」なサウンドを特徴とし、1960年代初頭のニューヨークの洗練された雰囲気を見事に表現しています[5]。マリガンは、バリトンサックスの奏者として知られていますが、このアルバムでは新たな一面も見せています。

サウンドの特徴:

  • 穏やかで落ち着いたトーン
  • バラードを中心とした選曲
  • ジャズノワールと新興のブラジリアンリズムの融合
  • 楽器間の絶妙な掛け合い

特筆すべきは、タイトル曲「Night Lights」でマリガンがピアノを演奏していることです。この曲では、haunting(魅惑的な)メロディーと、きらめくようなマイナーコードが印象的です[1]。

制作時のエピソード

アルバムは1962年9月12日と10月3日に、ニューヨーク市のNola Penthouse Studiosで録音されました[3]。マリガンは、優れたミュージシャンたちを集めてセクステットを編成しました。

参加ミュージシャン:

  • Gerry Mulligan (バリトンサックス、ピアノ)
  • Art Farmer (フリューゲルホルン)
  • Bob Brookmeyer (バルブトロンボーン)
  • Jim Hall (ギター)
  • Bill Crow (ベース)
  • Dave Bailey (ドラムス)

特に、マリガンとギタリストのJim Hallとの掛け合いは、アルバム全体を通して素晴らしい相性を見せています[5]。

楽曲について

アルバムには、マリガンのオリジナル曲に加え、いくつかのカバー曲も収録されています[3]。

  1. 「Night Lights」: マリガンがピアノを演奏する印象的な曲
  2. 「Morning of the Carnival」: ブラジル映画『黒いオルフェ』のテーマ曲をボサノバ風にアレンジ
  3. 「In the Wee Small Hours of the Morning」: Frank Sinatraで有名な曲のカバー
  4. 「Prelude in E Minor」: ショパンの曲をボサノバ風にアレンジ
  5. 「Festival Minor」: マリガンのオリジナル曲で、ウェストコーストジャズの特徴を持つ
  6. 「Tell Me When」: マリガンのオリジナルバラード

発表時の反響と評価

『Night Lights』は、発表当時から高い評価を受け、現在でもマリガンの代表作の一つとして認識されています。AllMusicは3つ星を与え、「リラックスした録音で、結果は心地よく、落ち着いている」と評しています[3]。

ジャズ評論家たちからも高い評価を得ており、「utterly charming(完全に魅力的な)」「subtlety within subtlety(繊細さの中の繊細さ)」といった表現で称賛されています[4]。

特筆すべき点

  1. 音楽的革新: ハードバップとは異なる、クールでデタッチメントな感覚を持つウェストコーストジャズの特徴を体現[1]。
  2. 楽器編成: ピアノレスのセクステットという編成で、独特な音色を実現[2]。
  3. アレンジの妙: クラシック曲やポピュラーソングをジャズ的に解釈し、新たな魅力を引き出している[1][3]。
  4. ミュージシャンの相性: 参加ミュージシャンたちの絶妙な掛け合いが、アルバム全体の魅力を高めている[1][5]。
  5. 長期的な影響: 2024年のクロアチアの国際アルバムチャートで18位にランクインするなど、現在でも高い評価を受けている[3]。

『Night Lights』は、ジェリー・マリガンの音楽的才能と洞察力を示す重要な作品であり、クールジャズの代表作として、今なお多くのジャズファンに愛され続けています。

Citations:
[1] https://www.soulandjazzandfunk.com/reviews/gerry-mulligan-night-lights-newland/
[2] http://www.octobop.com/cd-releases/night-lights/night-lights-liner-notes/
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Night_Lights_(Gerry_Mulligan_album)
[4] https://www.jazzwise.com/review/gerry-mulligan-night-lights
[5] https://forums.stevehoffman.tv/threads/gerry-mulligan-night-lights-mastered-by-kevin-gray.1115119/
[6] https://jazzviews.net/gerry-mulligan-night-lights/
[7] https://www.npr.org/2011/06/20/4193005/gerry-mulligan-night-lights

アルバム・レヴュー

静かですが、ちょっと華やかなところもある優しく奥ゆかしいジャズです。
バリバリのジャズという風でもなく、いくらかフュージョンっぽいニュアンスもあります。

ジェリー・マリガンのバリトンサックスが軸になってテイストは一貫してますが、ボサノバがあったり、ジム・ホールのギターがフューチャーされたりで曲調はバラエティに富んでいます。
参加しているメンバーも穏やかな感じの人たちが多いかな?
1曲目のアルバムタイトル曲である「Night Lights」ではマリガンはピアノを弾いているのですね。
2曲目の「Morning of the Carnival(カーニバルの朝)」は映画『黒いオルフェ』の主題歌をカバーしたものでルイス・ボンファが作曲したボサノバ。
4曲目の「Prelude in E Minor」はショパンが作曲した「24の前奏曲 第4番」をマリガンがボサノバにアレンジしています。
アメリカでヒットしたスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトのアルバム『ゲッツ/ジルベルト』のリリースが本作の発表と同じ1963年なので、本作もボサノバ・ブームの一翼を担ったといえるのかもしれません。

年末の喧騒のさなかに聴けば、ちょっとした安らぎを与えてくれます。
人生に疲れた夜には心に染み入ります。
ジャズの初心者の方にもオススメの聴きやすいアルバムです。

トラックリスト

  1. Night Lights - 4:53
  2. Morning of the Carnival (Luiz Bonfá, Antônio Maria) - 5:27
  3. In the Wee Small Hours of the Morning (David Mann, Bob Hilliard) - 5:34
  4. Prelude in E Minor (Frédéric Chopin) - 4:11
  5. Festival Minor - 6:45
  6. Tell Me When - 4:06

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事