ケニー・ランキン『ライク・ア・シード』を聴く
ケニー・ランキン『ライク・ア・シード』
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Kenny Rankin(ケニー・ランキン)の1972年発表のアルバム『Like A Seed』(ライク・ア・シード)は、彼のキャリアにおいて重要な位置を占める作品です。

アルバムのコンセプトと音楽性

『ライク・ア・シード』は、ランキンの3枚目のスタジオアルバムで、彼の音楽性が成熟し、独自のスタイルを確立した作品と言えます[3]。このアルバムの特徴は、ボサノバ、フォーク、ジャズなどの要素を巧みに融合させた独特の音楽性にあります[22]。

ランキンの優しく柔らかな歌声と、アコースティックギターを中心とした繊細な演奏が、アルバム全体を通して「Peaceful」な雰囲気を醸し出しています[3]。タイトルの『Like A Seed』が示すように、この作品は新たな音楽的成長の種子を宿していたと言えるでしょう。

サウンドの特徴

アルバムのサウンドは、ランキンのボサノバタッチのアコースティックギターを基調としつつ、フルート、ハープ、ヴァイブラフォンなどの楽器を効果的に使用しています[22]。これらの楽器の絶妙な配置が、曲に深みと豊かな表情を与えています。

特筆すべきは、このアルバムがランキンのオリジナル曲のみで構成されていることです[22]。これは彼のシンガーソングライターとしての才能と自信を示すものと言えるでしょう。

制作エピソードと参加ミュージシャン

  • プロデュース:モンテ・ケイ&ジャック・ルイス
  • ケニー・ランキン(ヴォーカル、ギター)
  • マイク・ディージー(ギター、サックス)
  • ジム・ホーン(サックス、フルート、etc)
  • ラリー・ネクテル(キーボード)
  • ヴィクター・フェルドマン(キーボード)
  • ゲイル・レヴァン(ハープ)
  • マックス・ベネット(ベース)
  • リー・スクラー(ベース)
  • ジョン・ゲラン(ドラムス)
  • ジム・ケルトナー(ドラムス)
  • ゲイリー・コールマン(パーカッション)

制作に関する具体的なエピソードは限られていますが、アルバムのオープニング曲「Like A Seed」では、ランキンの子供たちの歌声が使用されており、家族的な温かさを感じさせます[22]。

参加ミュージシャンには、ベースのリー・スクラー(Lee Sklar)、ドラムのジム・ケルトナー(Jim Keltner)、キーボードのラリー・ネクテル(Larry Knechtel)など、当時の一流セッションミュージシャンが名を連ねています[22]。また、ジム・ホーン(Jim Horn)のフルート、ヴィクター・フェルドマン(Victor Feldman)のヴァイブラフォンなども、アルバムのサウンドに重要な役割を果たしています[22]。

収録曲と特筆すべき点

アルバムの代表曲「Peaceful」は、もともとランキンのデビューアルバム『Mind Dusters』(1967)に収録されていましたが、本作で再録されました[22]。この曲は後にヘレン・レディ(Helen Reddy)によってカバーされ、1973年にヒットチャートで高い順位を記録しています[4]。

「Stringman」は、フォーキーでメロディアスな曲調が特徴的で、ランキンの魅力が存分に発揮された曲と言えます[22]。

一方で、シングルカットされた「Comin' Down」は、ワウワウギターや激しいブラスセクションが使用されており、アルバム全体の雰囲気とは異なる曲調となっています[22]。

まとめ

『ライク・ア・シード』は、ケニー・ランキンの音楽的成熟を示す重要な作品です。ボサノバ、フォーク、ジャズの要素を融合させた独自のスタイル、繊細なアレンジ、そして彼の柔らかな歌声が見事に調和した本作は、ランキンの代表作として今も多くのリスナーに愛されています。オリジナル曲のみで構成された本アルバムは、シンガーソングライターとしてのランキンの才能を如実に示すものであり、彼のキャリアにおける重要な転換点となった作品と言えるでしょう。

Citations:
[1] https://www.allaboutjazz.com/kenny-rankin-from-the-heart-kenny-rankin-by-rj-deluke
[2] https://www.popmatters.com/121899-kenny-rankin-mind-dusters-2496175941.html
[3] https://note.com/yuuichi2400/n/nfc3892ba0afb
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Kenny_Rankin
[5] https://www.discogs.com/release/9024198-Kenny-Rankin-Like-A-Seed
[6] https://www.nytimes.com/2009/06/09/arts/music/09rankin.html
[7] https://www.allmusic.com/album/like-a-seed-mw0000691208
[8] https://kunieda.sfc.keio.ac.jp/2008/09/kenny-rankin-like-a-seed-1973.html
[9] https://paraisorecords.com/?pid=126537706
[10] https://www.albumoftheyear.org/album/986033-kenny-rankin-like-a-seed/user-reviews/
[11] https://www.youtube.com/watch?v=vaUZOxyURxk
[12] https://www.dustygroove.com/item/360132/Kenny-Rankin:Family
[13] https://www.allmusic.com/album/like-a-seed-mw0000691208
[14] https://www.guitarrecords.jp/product/19621
[15] https://marine.copernicus.eu/marine-paragraph/iframe-render/https:%7C%7Crazrabbb.ru%7Cyoqgmrjnzxzzfe46j
[16] https://www.challengerecords.com/products/1270652458/like-a-seed
[17] https://forums.stevehoffman.tv/threads/any-kenny-rankin-fans-out-there.96390/
[18] https://www.allaboutjazz.com/musicians/kenny-rankin/
[19] https://en.wikipedia.org/wiki/Kenny_Rankin
[20] https://www.hmv.co.jp/artist_Kenny-Rankin_000000000007877/review/
[21] https://www.theitem.com/stories/singer-songwriter-kenny-rankin-dead-of-lung-cancer,99016
[22] https://note.com/yuuichi2400/n/nfc3892ba0afb

アルバムレヴュー

ケニー・ランキン(Kenny Rankin)の『ライク・ア・シード(LIKE A SEED)』です。
リリースは1972年。
世に隠れた名盤といわれるものは、いろいろありますが、本作もそうした1枚ではないでしょうか。
ケニー・ランキンの人柄が伝わるような温かで優しいアルバムです。
無印良品的な品の良さを感じます。

ケニー・ランキンは1940年に生まれたアメリカのシンガーソングライター。
小学校の頃、合唱団に入っていたそうですが、さもありなんといった風で、とにかく歌が上手です。
そして、声もイイ。
声がもう、楽器といった感じ。
甘い歌声で、透明感のある高音はのびやか。
また、アコースティックギターの腕も確かでボブ・ディランのフォークからロックへの入り口となったアルバム『Bringing It All Back Home』ではギターでも参加しています。

全体のテイストとしてはジェームス・テイラーあたりと似たような感じもありますが、時代のせいか楽曲によってはちょっとサイケな感じのロックもあります。
現在、聴くと日本の70年代のロックやニューミュージックにも似た雰囲気もあり、どこかで聴いたことがあるようなサウンド。
自分がシングルカットするなら「ライク・ア・シード」、「ピースフル」、「アイ・ウォズ・ボーン」の3曲でしょうか。

アルバムタイトルにもなった「ライク・ア・シード」のオープニングはランキンの4人の子ども達のコーラスがフィーチャーされたアットホームな雰囲気の佳曲。
3曲目の「ピースフル」は長男の誕生を歌ったもので、アメリカの大物ヴォーカリスト、ヘレン・レディがカバーしヒットさせました。
上記の二曲はカーペンターズが歌ってもおかしくないような優しく端正な楽曲。
そうした意味では、この二曲は老若男女、誰にでもおススメできるし、誰からも受け入れてもらえるようなポップスです。
一方、「アイ・ウォズ・ボーン」はマイク・ディージーのサイケなギターソロが聴けるグリニッジビレッジ風なアメリカンロック。

参加ミュージシャンも豪華。
ギターのマイク・ディージーはビーチ・ボーイズの『ペットサウンズ』にも参加したギタリスト。
キーボードで参加のラリー・ネクテルはサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」でピアノを弾いています。
ドラムではジョン・レノンやジョージ・ハリスンのバックも務めた大物ドラマーのジム・ケルトナーの名前があります。
こういう、アルバムはもっといろんな人に聴いてもらいたいと思います。
残念なことに、ケニー・ランキンは2009年6月に肺癌で亡くなりました。

トラックリスト

Side A

  1. Like A Seed - ライク・ア・シード(4:00)
  2. Yesterday's Lies - イエスタデイズ・ライズ(4:02)
  3. Peaceful - ピースフル(3:08)
  4. Sometimes - サムタイムス(3:59)
  5. Comin' Down - カミン・ダウン(4:08)

Side B

  1. Stringman - ストリングマン(2:57)
  2. Eartheart - アースハート(4:50)
  3. Bad Times Make You Strong - バッド・タイムズ・メイク・ユーストロング(4:21)
  4. You Are My Woman - ユー・アー・マイ・ウーマン(3:44)
  5. I Was Born - アイ・ウォズ・ボーン(4:20)
  6. If I Should Go To Pray - イフ・アイ・シュッド・ゴー・トゥ・プレイ(3:17)
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