Derek and the Dominos(デレク&ドミノス)のアルバム『Layla and Other Assorted Love Songs』(いとしのレイラ)は、1970年11月9日にリリースされた唯一のスタジオアルバムで、ロック音楽史に残る重要な作品の一つとして広く認識されています[7]。
アルバムのコンセプトと背景
このアルバムは、エリック・クラプトンの個人的な経験と感情に深く根ざしています。クラプトンは当時、親友ジョージ・ハリスンの妻パティ・ボイドに深く恋をしており、その思いがアルバム全体を通じて表現されています[1][2]。実際、タイトル曲「Layla」はボイドへの思いを込めて書かれた曲です[7]。
クラプトンは、それまでの「スーパーグループ」としての活動に疲れを感じており、バンド名を「Derek and the Dominos」とすることで、自身の名前を前面に出すことを避けようとしました[1]。
音楽性とサウンドの特徴
『Layla and Other Assorted Love Songs』は、ロック、エレクトリック・ブルース、サザンゴスペルの影響を融合させた独特のサウンドを特徴としています[6]。アルバムには、激しいギターリフと感情的なボーカル、そして繊細なピアノ演奏が織り交ぜられています。
特筆すべきは、クラプトンとデュアン・オールマンのギター演奏の相乗効果です。二人の異なるスタイルが見事に融合し、特に「Layla」や「Key to the Highway」などの曲で顕著に表れています[3][4]。
制作時のエピソード
アルバムは1970年8月下旬から10月初旬にかけて、フロリダ州マイアミのCriteriaスタジオで録音されました[7]。当初はクラプトンを中心としたバンドでしたが、偶然にもデュアン・オールマンが参加することになり、アルバムの方向性が大きく変わりました[4]。
録音セッションは非常にスムーズで、多くの曲が1、2テイクで完成したといいます。バンドメンバーは長時間のジャムセッションを行い、そこから生まれたアイデアを曲に取り入れていきました[4]。
参加ミュージシャン
アルバムの中心メンバーは以下の通りです:
- Eric Clapton (ギター、ボーカル)
- Bobby Whitlock (キーボード、ボーカル)
- Carl Radle (ベース)
- Jim Gordon (ドラムス、パーカッション)
- Duane Allman (リードギター、スライドギター)[7]
発表時の反響と評価
興味深いことに、発売当初このアルバムは商業的にも批評家からもあまり高い評価を得られませんでした。アメリカでは16位までしか上がらず、イギリスではチャート入りすらしませんでした[5]。
しかし、時が経つにつれてその評価は大きく変わり、現在では多くの音楽ファンやクリティックから傑作として認められています。Rolling Stone誌は「史上最も偉大なアルバム500枚」のリストで117位に選んでいます[5]。
特筆すべき点
- タイトル曲「Layla」は、ロック史上最も有名なラブソングの一つとして知られています[5]。
- アルバム全体を通じて、Claptonの心の痛みと情熱が率直に表現されています[1][2]。
- Duane Allmanの参加により、アルバムのサウンドが大きく向上しました[3][4]。
- 「Bell Bottom Blues」「Why Does Love Got to Be So Sad」など、他の楽曲も高く評価されています[2]。
『Layla and Other Assorted Love Songs』は、音楽的な才能と個人的な感情が見事に融合した作品であり、ロック音楽の歴史に深く刻まれた傑作として今も多くの人々に愛され続けています[8]。
Citations:
[1] https://ultimateclassicrock.com/derek-and-the-dominos-layla/
[2] https://www.loudersound.com/reviews/derek-and-the-dominoes-layla-and-other-assorted-love-songs-album-of-the-week-club-review
[3] https://www.gramophone.com/blog/story-behind-layla-and-other-assorted-love-songs
[4] https://www.guitarplayer.com/players/an-oral-history-of-derek-and-the-dominos-layla
[5] https://www.udiscovermusic.com/stories/unusual-history-derek-dominos-layla/
[6] https://www.prnewswire.com/news-releases/derek-and-the-dominos-layla-and-other-assorted-love-songs-turns-40-114508914.html
[7] https://en.wikipedia.org/wiki/Layla_and_Other_Assorted_Love_Songs
[8] https://www.thevinyldistrict.com/storefront/graded-on-a-curve-derek-and-the-dominos-layla-and-other-assorted-love-songs/
[9] https://en.wikipedia.org/wiki/Derek_and_the_Dominos
アルバムレヴュー
デレク&ドミノス(Derek and the Dominos)の『いとしのレイラ』(Layla and Other Assorted Love Songs)です。
「エリック・クラプトンの」といっても、いいのかもしれませんが。
よく、音楽の話をしていると「○○の××を聴いて、鳥肌が立った」なんていい方をしますが、自分の場合はこれでした。
「レイラ」です。
それまでは、音楽を聴いて鳥肌が立つなんて、ちょっとした感動を大げさに言っているだけだろうと思っていましたが、あにはからんや。
感動する音楽に会うと、本当に鳥肌が立つんですね。
いや、ホントに!
初めて聴いたのは、おそらく高校1年生の頃。
ラジオから流れてきた「いとしのレイラ」のイントロ。
もう、イントロだけでKOされた感じ。
すぐに、レコード屋に走りたかったのですがお金がないので、じりじりとFMのエアチェックを待ちました。
幸運にも、さして間を置くことなく「レイラ」をカセットに録音することができ、その後、1ヶ月ぐらい「レイラ」だけを聴いていたような気がします。
これで、エリック・クラプトンにはまりました。
さて「レイラ」です。
トリプルギターが奏でるイントロのリフからしてカッコいい。
デュアン・オールマンのワイルドなスライドギターのソロで曲は最高潮を迎える。
そのプレイはギターのフレットの範囲を越えた高音も使っているといいます。
正直言って、クラプトンはデュアン・オールマンに完全に食われています。
途中からジム・ゴードンの曲を締めくくるようなピアノが入り違う曲調に。
あれっ、違う曲になったのか? と。
いえいえ、まだ、続きです。
こんな風に二つの曲が合体したような構成なので、ラジオでフルに通しでかかることはほとんどありません。
本当は、ピアノの間奏が始まる手前で曲は終わりにしようとしたらしいのですが、セッションを録音していたら「このままの感じでも、いんじゃね!」ということで長尺の曲になったらしいです。
『レイラ』は当時、ジョージ・ハリスンの奥さんだったパティ・ボイドに一目ぼれしたクラプトンが捧げた曲としても知られています。
実際、すっごくキレイな女性ではあるのですが…。
そのおかげもあったのか、後にクラプトンとボイドは結婚しています。
ただ、その結婚生活は決して順風満帆なものではなかったらしく10年ほどで離婚しています。
2枚組で曲数もたくさんあるのに『いとしのレイラ』のことしか、書いてませんが、他の曲のことはまた、そのうちに…。
ところでデレク&ドミノスのデレクとは、当時のクラプトンのあだ名のデレックから採ったとか。
トラックリスト
Side A
- アイ・ルックト・アウェイ(I Looked Away) - 3:05
- ベル・ボトム・ブルース(Bell Bottom Blues) - 5:02
- キープ・オン・グロウイング(Keep On Growing) - 6:21
- だれも知らない(Nobody Knows You When You're Down and Out) - 4:57
Side B
- アイ・アム・ユアーズ(I Am Yours) - 3:34
- エニイデイ(Anyday) - 6:35
- ハイウェイへの関門(Key to the Highway) - 9:40
Side C
- テル・ザ・トゥルース(Tell the Truth) - 6:39
- 恋は悲しきもの(Why Does Love Got to Be So Sad?) - 4:41
- 愛の経験(Have You Ever Loved a Woman) - 6:52
Side D
- リトル・ウィング(Little Wing) - 5:33
- イッツ・トゥー・レイト(It's Too Late) - 3:47
- いとしのレイラ(Layla) - 7:05
- 庭の木(Thorn Tree in the Garden) - 2:53
パーソネル
- エリック・クラプトン(Eric Clapton) - ヴォーカル、ギター
- ボビー・ウィットロック(Bobby Whitlock) - キーボード、ヴォーカル、アコースティック・ギター
- カール・レイドル(Carl Radle) - ベース、パーカッション
- ジム・ゴードン(Jim Gordon) - ドラムス、ピアノ、パーカッション
- デュアン・オールマン - ギター