
フリート・ウッドマック(Fleetwood Mac)の『噂』(Rumours)です。
もともとは1960年代の終わりに、ギタリストのピーター・グリーンとドラムのミック・フリート・ウッドマックが中心になってイギリスで結成されたゴリゴリのブルースバンドでした。
しかし、1977年にリリースされた本作にはそうした英国らしさやブルースらしさはほとんど感じられません。
オリジナルメンバーで残っているのはドラムのミック・フリートウッドとベースのジョン・マクヴィーのリズム隊のみでフロントのリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスは前作の『ファンタスティック・マック』から加入。
69年に発表された強烈なジャケットデザインの『英吉利の薔薇(イングリッシュ・ローズ)』という2枚目のアルバムも持っていますが、サウンドや音楽センス、ジャケットデザインも含め全く別のグループといっていいかもしれません。
このアルバムにはサンタナがカバーしてヒットした「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルが収められていることでも知られています。
全体にリンジー・バッキンガム、スティーヴィー・ニックス、クリスティン・マクヴィーの3人のソングライターの個性がポップにまとめられたロックアルバムになっています。
おススメはやはり、なんといってもA面2曲目に収録された「ドリームス」。
彼ら唯一の全米No1ヒットの楽曲です。
スティーヴィー・ニックスの歌声は決して美声とはいえませんが、そのハスキーヴォイスは、不思議な魅力がありなんとも印象に残ります。
コケティッシュとか小悪魔というフレーズはスティーヴィー・ニックスのためにあるんじゃなかろうか?
フード付ガウンのコスチュームを着たところなんか、まるで魔法使いのようです。
イギリスの魔女がケイト・ブッシュなら、アメリカの魔女がスティーヴィー・ニックスといったところでしょうか。
「ドリームス」以外にもリンジー・バッキンガムがヴォーカルの「オウン・ウェイ」やクリスティン・マクヴィーが歌った「ドント・ストップ」がヒットしました。
メンバー内で結婚したり離婚したり、女性メンバー同士仲が悪かったりというエピソードも、いかにも、男女混成のグループらしい。
自分は当時中学生でしたがイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』と並んで、えらく売れてたなぁという印象があります。
トラックリスト
- セカンド・ハンド・ニュース(Second Hand News) - 2:43
- ドリームス(Dreams) - 4:14
- もう帰らない(Never Going Back Again) - 2:14
- ドント・ストップ(Don't Stop) - 3:11
- オウン・ウェイ(Go Your Own Way) - 3:38
- ソングバード(Songbird) - 3:20 1976年3月3日にカリフォルニア大学バークレー校ゼルバック・ホールで録音。
- ザ・チェイン(The Chain) - 4:28
- ユー・メイク・ラヴィング・ファン(You Make Loving Fun) - 3:31
- アイ・ドント・ウォント・トゥ・ノウ(I Don't Want to Know) - 3:11
- オー・ダディ(Oh Daddy) - 3:54
- ゴールド・ダスト・ウーマン(Gold Dust Woman) - 4:51
パーソネル
- スティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks) - ボーカル
- リンジー・バッキンガム(Lindsey Buckingham) - ギター、ボーカル
- ジョン・マクヴィー(John Graham McVie) - ベース
- クリスティン・マクヴィー(Christine McVie) - キーボード、ボーカル
- ミック・フリートウッド(Mick Fleetwood) - ドラム