ジェフ・ベック・グループ『ラフ・アンド・レディ』を聴く
ジェフ・ベック・グループの『ラフ・アンド・レディ』を聴く
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『Rough And Ready』(ラフ・アンド・レディ)は、1971年10月25日にリリースされたThe Jeff Beck Group(ジェフ・ベック・グループ)の3枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、ジェフ・ベックが新たに結成した2代目Jeff Beck Groupによる最初の作品となりました[1][2]。

コンセプトと音楽性

このアルバムでは、ジャズ、ソウル、R&Bの要素をロックに取り入れた新しい方向性が示されています[6]。ベックのリードギターを中心としながらも、より幅広いジャンルの影響を受けた音楽性が特徴です[1]。

サウンドの特徴としては、以下の点が挙げられます:

  • ジャズロック的な要素の導入[7]
  • ファンキーでソウルフルな雰囲気[1]
  • R&Bの影響を受けたグルーヴ感[2]
  • ベックのギターソロと新メンバーによる演奏の融合[6]

制作エピソード

アルバムの制作過程には、いくつかの興味深いエピソードがあります:

  1. 当初、アレックス・リガートウッドがボーカリストとして録音に参加しましたが、レコード会社の意向で交代することになりました[2]。
  2. ボビー・テンチが新ボーカリストとして加入し、わずか数週間で新しい歌詞を書き、ボーカルを録音しました[7]。
  3. ドラマーのコージー・パウェルは、アルバムの録音が終わった後に新しいドラムキットを購入し、全曲のドラムトラックを一発録りで録音し直すという離れ業を行いました[6]。
  4. ベックは自身でプロデュースを手がけ、8トラックのテープレコーダーを使用して録音を行いました[6][7]。

パーソネル

  • ジェフ・ベック(Jeff Beck): guitars, bass and production
  • ボビー・テンチ(Bobby Tench): vocals and rhythm guitar
  • マックス・ミドルトン(Max Middleton): piano and keyboards
  • クライブ・チャマン(Clive Chaman): bass
  • コージー・パウエル(Cozy Powell): drums

発表時の反響

『Rough And Ready』の発表時の反響は、以下のようなものでした:

  • アメリカのビルボードチャートで46位を記録しました[7]。
  • 批評家からは賛否両論の評価を受けました。一部の批評家はアルバムの演奏力を称賛しましたが、楽曲の質に物足りなさを感じる声もありました[6]。
  • 『ローリング・ストーン』誌のスティーヴン・デイヴィスは、ベックの復活作として高く評価しました[7]。
  • 『ヴィレッジ・ボイス』誌の1971年の年間ベストアルバム投票で23位にランクインしました[7]。

特筆すべき点

  1. このアルバムは、ベックがソングライターとしても多くの楽曲を提供した作品となりました[7]。
  2. キーボーディストのマックス・ミドルトンとの長期的なコラボレーションの始まりとなりました[6]。
  3. 後のジャズフュージョン作品『Blow by Blow』や『Wired』につながる音楽性の萌芽が見られます[6]。
  4. アルバムに収録された「Got the Feeling」がシングルカットされ、NMEの批評家から好評を得ました[7]。

『Rough And Ready』は、ジェフ・ベックの音楽キャリアにおける転換点となった作品であり、彼の後のジャズロック路線への布石となった重要なアルバムと言えるでしょう[1][6]。

Citations:
[1] https://jhendrix110.tripod.com/JeffBeck.html
[2] https://www.allaboutjazz.com/jeff-beck-group-rough-and-ready-and-jeff-beck-group-a-k-a-the-orange-album-by-doug-collette
[3] https://www.loudersound.com/features/jeff-beck-group-the-story-of-truth
[4] http://rockasteria.blogspot.com/2012/07/jeff-beck-rough-and-ready-1970-uk.html
[5] https://www.birdland.com.au/jeff-beck-group-rough-and-ready
[6] https://ultimateclassicrock.com/jeff-beck-rough-and-ready/
[7] https://en.wikipedia.org/wiki/Rough_and_Ready_(album)
[8] https://www.hmv.co.jp/en/artist_Jeff-Beck-Group_000000000333051/item_Rough-And-Ready_14907157

アルバムレヴュー

本当の意味でカッコイイ、ロックのアルバムというのはこういうのをいうんじゃないでしょうか?

1曲目から、緊張感のあるコージー・パウエルのドラムとワウの効いたジェフ・ベックのギターが存在感を発揮しています。
最近ではベックといえば、もっぱらオルタナ系のロックミュージシャンのことをさすようですが小生の世代ではベックといえば、やはりギターヒーローのジェフ・ベックのことです。

一般に、このアルバムは彼の作品の中でも地味な存在ですが個人的にはベックの最も代表的なアルバムの『ブロー・バイ・ブロー』の次ぐらいに好きなアルバムです。
他のアルバムと違ってこの作品に関してはジェフ・ベックが他のパートを従えてオレ様についてこいといった風ではありません。

ベックのギタープレイは、ヴォーカルやリズム隊のファンキーなグルーブにエフェクターをかけまくったストラトキャスターで切り込んでいくかのようです。
こういう独特のギターの音色は、他のギタリストではなかなか聴くことができないですね…。
とはいっても彼の作品の中ではどちらかといえばアンサンブル重視といった趣ですが、それでもバリバリ弾いていることには変わりありません。

違った見方をするなら、コージー・パウエルのドラムとマックス・ミドルトンのキーボードがベックの一人勝ちを許さないプレイでグイグイと引っ張っていきます。
マックス・ミドルトンのキーボードプレイには名盤といわれる『ブロウ・バイ・ブロウ』を予感させるジャジーな雰囲気もあります。
なかでもコージー・パウエルのドラムは圧巻ですね。
コージー・パウエルはこのあとリッチー・ブラックモアとやったりして、どうもハードロック・メタル系のイメージが強いのですが、この作品を聴くといわゆるテクニシャン系のドラマーなんだとつくづく思います。
1998年に彼は自動車事故で亡くなってしまうのですがつくづく惜しいドラマーをなくしたものです。
合掌。

トラックリスト

    1. I Got The Feeling (J. Beck) - 4:46
    2. Situation (J. Beck) - 5:26
    3. Short Business (J. Beck) - 2:34
    4. Max's Tune (Raynes Park Blues) (M. Middleton) - 8:24
    5. I've Been Used (J. Beck) - 3:40
    6. New Ways / Train Train (J. Beck) - 5:52
    7. Jody (J. Beck-B. Short) - 6:06
リリース:1971年10月
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