スティーリー・ダン『エイジャ』
スポンサーリンク

スティーリー・ダン(steely dan)の『エイジャ(Aja)』である。

取引先にしたらいやだなと思うクライアントがいる。
「サンプルをいくつも、持ってきてくれ」というクライアント。
「ここを変えてくれ」と果てしのない要求を繰り返すクライアント。
過去にいくつもの取引の実績があるのに毎回「数社によるコンペだから頑張ってくれ」というクライアント。

スタジオミュージシャンにとってそんな、嫌な客の筆頭に挙がるのはこの時期のスティーリー・ダンに間違いないだろう。
このアルバムの「peg」という楽曲の20秒程のギターソロに7名のギタリストが挑戦しボツになった。
いずれも一流のスタジオミュージシャンとして鳴らししている連中ばかりだ。
ボツになったギタリストは、大層、ショックだったことだろう。
採用されたのジェイ・グレイドンというギタリストの間ではミュージシャンズ・ミュージシャンとも言われるギタリストのソロ。

スティーリー・ダンの音楽の良さを、ちゃんと知るためには鳴っている楽器一つひとつの音に意識を傾ける必要がある。
参加しているスタジオミュージシャンは総勢36名と超豪華。
収められているのは7曲だが、ドラマーは6名も使っている。
一曲ごとに違うバンドで演奏を行っているようなもので、彼ら(ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー)が一曲一曲の音作りに、そのぐらい完璧を求めている姿勢が伺える。
二人を揶揄して完璧主義者とか変わり者とか言うミュージシャンやエンジニアが現れる所以だ。

確かにこのアルバムはロックという音楽の、ある方向を目指した完璧なフォーマットの一つに間違いないだろう。
ロックにジャズやソウルのテイストを振り掛け、スノッブで晦渋な歌詞を放り込み、超一流のスタジオミュージシャンで洗練された調理する。
もう、二十数年も聴いているアルバムだけど、今もって自分の中では5本の指に入る作品になっている。
中でも表題曲となっている「Aja」という楽曲のスティーブ・ガッドのドラムミングとウェイン・ショーターによるサックスは圧巻。
録音も素晴らしくグラミー賞の最優秀録音賞を受賞していることもあり、エンジニアにとってもマスターピースの1枚になっている。

ジャケットのアートワークも秀逸だ。
アルバムジャケットのモデルは山口小夜子、カメラマンは藤井秀樹。
タイトルの『Aja』はドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの友人の奥さんが韓国人で、彼女の名前だそうだ。
このアルバムは1977年に発表されたのだが翌年のビルボードのアルバム・ヒットチャートの5位になっている。
いやはや、洋楽が全盛の一番良い時代だった
無駄なものも、足りないものもない、完璧な1枚だ。

トラックリスト

    Side one
  1. Black Cow - 5:10
  2. Aja - 7:57
  3. Deacon Blues - 7:33
  4. Side two
  5. Peg - 3:58
  6. Home at Last - 5:34
  7. I Got the News - 5:06
  8. Josie - 4:33

パーソネル

Steely Dan

  • Donald Fagen – lead vocals (all tracks), synthesizer (all tracks but 4), police whistle (2), backing vocals (2, 5, 7)
  • Walter Becker – bass (3), guitar (2), guitar solos (5, 6, 7)

Additional musicians

  • Victor Feldman – electric piano (1, 3, 7), vibraphone (5, 6), piano (5, 6), percussion (2, 4)
  • Joe Sample – electric piano (2), Hohner Clavinet (1)
  • Paul Griffin – electric piano (4), backing vocals (4)
  • Michael Omartian – piano (2)
  • Don Grolnick – Hohner Clavinet (4)
  • Larry Carlton – guitar (1, 2, 3, 5, 7), guitar solo (6)
  • Lee Ritenour - guitar (3)
  • Denny Dias (2), Dean Parks (3, 6, 7), Steve Khan (4) – guitar
  • Jay Graydon – solo guitar (4)
  • Chuck Rainey – bass (all but 3)
  • Paul Humphrey (1), Steve Gadd (2), Bernard Purdie (3, 5), Rick Marotta (4), Ed Greene (6) – drums
  • Jim Keltner – drums (7), percussion (7)
  • Gary Coleman – percussion (4)
  • Tom Scott – tenor saxophone (1), Lyricon (4), horn arrangements
  • Wayne Shorter (2), Pete Christlieb (3) – tenor saxophone
  • Jim Horn, Bill Perkins, Plas Johnson, Jackie Kelso – saxes/flutes
  • Chuck Findley, Lou McCreary, Slyde Hyde – brass
  • Michael McDonald (4, 6), Timothy B. Schmit (2, 5, 7), Clydie King (1, 3, 6), Sherlie Matthews (1, 3, 6), Venetta Fields (1, 3, 6), Rebecca Louis (1, 6) – backing vocals

スポンサーリンク
おすすめの記事