スーパー・ギター・トリオといわれたアル・ディ・メオラ(Al Di Meola)、パコ・デ・ルシア(Paco de Lucía)、ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)による『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ~スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!(Friday Night in San Francisco - Live)』です。
いずれも超絶テクニックを持つ技巧派ギタリスト3人による、アコースティックライブのアルバム。
1981年にリリースされたアルバムにもかかわらず、その音楽はいまもって新鮮だ。
スペインの香り立つメロディー、躍動するリズム、疾走するギター。
3人とも、これでもかというぐらいギターを弾き倒している。
プロ、マチュアを含め、当時、このアルバムに刺激を受けなかったギタリストはいないのではないだろうか?
このアルバムで、アル・ディ・メオラとジョン・マクラフリンが使用したオベーションというギターメーカーが注目された。
元々ヘリコプターのローターを製作していた企業だったというノウハウを生かしギターのボディをグラスファイバーや樹脂で作ったというユニークなメーカーだ。
日本でも渡辺香津美やcharとかが、アコースティックギター(しかもオベーション)を手にするようになった。
このアルバムを初めて聞いたのは忘れもしない高校1年生の夏だ。
場所は同じクラスでやはり、ロック好きでエレキギターの上手かった友人の部屋。
「これ凄いよ!」といった感じで友人は、このレコードに針を乗せた。
いやもう、驚いたのなんのって。
エレキギターならいざ知らず、アコースティックギターをこんな風に弾ける人間たちがいるのかと。
当時はディープ・パープルやレッド・ツェッペリンといった、いわゆるロックしか聴かないロック小僧で、リッチー・ブラックモアやジミー・ペイジこそが最高のギタリストだと信じてやまなかった。
そうしたハードロック信奉に風穴を開けられた一枚だった。
ジャズのアルバムではあるのだがパコ・デ・ルシアという、フラメンコギタリストが参加しているせいか全体的にスパニッシュの香りの立つアルバムに仕上がっている。
アルバム最後に収録されているスタジオ録音の「ガーディアン・エンジェル」以外は、1980年12月5日にサンフランシスコのワーフィールド劇場で行われたライブ録音。
2曲目の「Short Tales Of The Black Forest」はチック・コリア、3曲目の「Frevo Rasgado」はブラジルの音楽家、エグベルト・ジスモンチの楽曲。
3人で弾いているのは4曲目と5曲のみで、それ以外は基本、二人での共演となっている。
このアルバム以降、アル・ディ・メオラを核に、ラリー・コリエルや渡辺香津美が参加してスパー・ギタートリオとして活動していた時期もあった。
残念ながらパコ・デ・ルシアは先月(2014年の2月25日)、心臓発作で亡くなっている。
トラックリスト
- 地中海の舞踏(Mediterranean Sundance)[作曲:Al Di Meola] / Río Ancho (Paco de Lucía) – 11:25
Performed by: Paco de Lucía (left channel) and Al Di Meola (right channel) - 黒い森(Short Tales of the Black Forest)[作曲:Chick Corea] – 8:39
Performed by: John McLaughlin (left channel) and Al Di Meola (right channel) - フレボ(Frevo Rasgado) – 7:54 [作曲:Egberto Gismonti]
Performed by: John McLaughlin (left channel) and Paco de Lucía (right channel) - 幻想組曲(Fantasia Suite) [作曲:Al Di Meola] – 8:41
Performed by: Paco de Lucía (left channel), John McLaughlin (middle channel) and Al Di Meola (right channel) - ガーディアン・エンジェル(Guardian Angel) [作曲:John McLaughlin] (studio recording) – 4:00
Performed by: Paco de Lucía (left channel), John McLaughlin (middle channel) and Al Di Meola (right channel)