レッド・ツェッペリン『祭典の日』を「MOVIE ONやまがた」で観る
レッド・ツェッペリン『祭典の日』
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「カッコいい」につきる

レッド・ツェッペリンのライブ映画『祭典の日』を山形市嶋にある「MOVIE ONやまがた」で観た。
なんて、カッコいいのだろう! そして、なんでカッコいいのだろう?
今さらながらなのだが、この映画を観終わって、素直にそんな感想をもった。
レッド・ツェッペリンが5年前の2007年12月にロンドン、O2(オーツー)アリーナで行った一日だけの再結成ライブの映画「祭典の日(奇跡のライブ)」である。
この映画は一部の映画館を除き全国的に昨日と今日の二日間だけ上映された。
今回は、ほとんどアナウンスされなかったので、ツェッペリンのファンでも知らない人が多かったのではないだろうか?
山形では山形市嶋のムービーオンだけでの上映である。
上映は20時半から。
平日なので仕事が終わってから行くにはちょうどいい時間だ。
館内は、かなり空席が目立っているが、それでも半分弱ぐらいは埋まったのではないだろうか?
一見して客席の男性且つ、中高年の割合が高いのがすぐにわかった。

ライブ会場にいるような臨場感

映画が始まりオープニングのクレジットにはジョンポール・ジョーンズ(b、key)、ジミー・ペイジ(g)、ロバート・プラント(vo)、そしてジェイソン・ボーナム(ds)の順に名前が現れる。
オリジナルメンバーのジョン・ボーナム(ds)の飲酒による死亡事故は、ツェッペリン解散の直接の原因になったわけだが、今回はジョン・ボーナムの息子のジェイソン・ボーナムが父親の代役を務めている。
客席からステージを俯瞰するようなカットから演奏は始まる。

1曲目は『Good Times Bad Times』。
真っ先に感じたのはロバート・プラントの声の衰えである。
そこには、あのカタルシスを覚えるような全盛期の頃の高音はなくオリジナルより数度、音程を下げたカタチでのパフォーマンスになってしまっている。
頭の中では全盛の頃のロバート・プラントが朗々と高音で歌っているイメージが幻のように聴こえていて、その対比がもどかしさを覚えさせる。
しかし、そう感じさせたのも序盤だけで全体的には十分、納得のいくパフォーマンスだった。

ギターのジミー・ペイジも若い頃の黒々とした長髪ではなく、プラチナブロンドのような白髪になっている。
ギターも決して上手くはないのかもしれないが、かといって下手というのもいかがなものかと思う。
彼のギターを下手という人は多いが、一体、彼にどんなプレイを求めているのだろうか?
ジミー・ペイジがジェフ・ベックみたいになったら、それは、もうレッド・ツェッペリンというバンドではないことを意味するのではないだろうか。
映画の編集も彼の手元をクローズアップで映すシーンが多く、ファンの心理をよくわかったものになっている。

ベースのジョンポール・ジョーンズは、髪も短く昔より渋くてカッコいいおじさんになっていた。
中でも彼のキーボードがフューチャーされた『No Quarter』は印象に残った。
若い頃より、存在感を増したのではないだろうか?

ジェイソン・ボーナムのドラムは父親のような破壊的な激しさはないが、それでもシュアなドラミングで十分、上手いといえるドラマーだった。
しっかり父親の代役は果たせたし、ドラマーとしてはもしかしたら父親より器用なのではないだろうか?

ロックの最高峰

山形市嶋にあるムービー・オン:レッド・ツェッペリン『祭典の日』を「MOVIE ONやまがた」で観る
山形市嶋にあるムービー・オン

約2時間ほどのライブ映画だったが、曲が終わるごとに不覚にも拍手をしてしまいそうになった。
ロックという音楽が誕生して半世紀以上になるとおもうが、ロックのジャンルの一つでは今もって最高峰であることは間違いがない。
その音楽としてのスケールの大きさ、カタルシスを生む強力なエネルギー、アートと言える域にまで昇華された楽曲の陰翳の深さ。
そして、なにより、ルックスのカッコよさ。
そうした意味で、このバンドが唯一無二の存在であることは間違いない。
蛇足みたいな話だが、あのカラヤンだって彼らの代表曲『天国への階段』を絶賛してたのだから!

30年以上も前に撮られた『レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ』のような変な演出(本当に変だった)もなくステージに立つメンバーが演奏する映像だけで、つくられた本来の意味でのライブ映画だったのは、本当に良かった。

映画が終了したのは22時40分。
自宅へ車で帰る道すがら、頭の中では彼らの『Whole Lotta Love』が無限ループしていた。

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