
ニール・ヤング(Neil Young)の『ハーヴェスト・ムーン(Harvest Moon)』である。
ニール・ヤングには秋がよく似合う。
空気の透明度が増し、風は清冽さを深め、陽の光は朱を帯びてくる。
稲が黄金色に輝き、畑の芋や豆も実り、木になる果物も赤く熟し始める。
収穫の季節。
ニール・ヤングには収穫、そのものずばりをタイトルにした『ハーヴェスト(Harvest)』という超名盤もあるが、その続編とも言われる本作も悪くない。
悪くないというより、より、よいような気すらする。
1972年に発表された『ハーヴェスト』はニール・ヤングが27歳の時の作品、一方の『ハーヴェスト・ムーン』は1992年、彼が47歳の時に発表された。
『ハーヴェスト』にはリンダ・ロンシュタッドやジェームス・テイラー、ジャック・ニッチェなどが参加していたが、このアルバムでもこの3人が参加し、他にニコレット・ラーソンなどもヴォーカルで参加している。
サウンドはいたってシンプル。
穏やかなアコースティックの楽器の音が土の匂いを感じさせる。
年齢を重ね円熟味を増したと言えるのかもしれないが、叙情的で力の抜けた感じが、ゆったりとした気持ちにさせてくれる。
全体に佳曲ぞろいだが、中でも、アルバムタイトルの『ハーヴェスト・ムーン』はギターのハーモニクスが印象的なリフとブルースハープやスライドギター、何よりリンダ・ロンシュタッドのバックグラウンドコーラスが効いた傑作。
ところで、Harvest Moonに該当する日本語があるのだろうかと、ネットで「収穫月」とググってみた。
すると、レストランやお菓子屋さんに「収穫月」というところがありました。
しかも「みのりづき」と読ませるらしい。
ほんまかいなと思って辞書を調べたら、どうやら、そういう言葉はないらしい。
少なくても、小学館の大辞泉には載っていなかった。
それはさておき、秋の月の光に照らされながら冷や酒でも一杯やるのに、これほどしっくりくる曲を他に知らない。
トラックリスト
- Unknown Legend(4:32)
- From Hank to Hendrix(5:12)
- You and Me(3:45)
- Harvest Moon(5:03)
- War of Man(5:41)
- One of These Days(4:55)
- Such a Woman(4:36)
- Old King(2:57)
- Dreamin' Man(4:36)
- Natural Beauty[recorded live at The Civic Auditorium, Portland, Oregon, January 23, 1992](10:22)