フラワー・トラベリン・バンド『SATORI』を聴く
フラワー・トラベリン・バンド『SATORI』
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フラワー・トラベリン・バンド(Flower Travellin' Band)の『SATORI』である。
大学生の頃に東京の神保町あたり(新宿だったかもしれない?) の中古レコード屋さんで購入したものだと思います。
漢字で書けば「悟り」ですね。
お盆だからという訳でもないが、久しぶりにというか、“超久しぶり”に聴いてみました。

リリースは1971年。
当時はフォークブーム全盛のころだが、今、振り返っても1970年代の日本のロックシーンは上手くて個性的なプレイヤーがたくさんいたと思う。
はっぴいえんど、サディスティック・ミカ・バンド、四人囃子、外道、イエロー、カルメン・マキ&OZ、クリエイション、etc。
今のように、ギターやドラムの専門学校がある訳でもなく、ましてやバンドのスコア譜があったりする訳でもない。
それでも、当時十代や二十代前半のプレイヤーが流星群のように現れた。
ホント、奇跡的なことだと思う。
不思議なのは、当時のバンドのいずれもが今、聴いても古びていないことである。
ロックにエヴァーグリーンという言葉は似つかわしくないような気がするが、いつ聴いてもマンネリにならない輝きがある。

本作は日本のロックを語るときに、必ず名盤として紹介されるようなアルバムである。
アメリカやイギリスのバンドにも負けない質の高さとパワーを感じる。

当時は東洋思想がビートルズのジョージ・ハリスンやジョン・レノンをはじめ多くのミュージシャンや若者に影響を与えていた時代。
そうしたこともあってか、歌詞は英語だが、全体に東洋趣味が前面に押しだされている。
全曲が「SATORI」というタイトルでパート1からパート5で構成される。
中でもカナダのチャートで8位になった「SATORI PART2」は祭りのようなリズムとエッジの効いたギターのお経の節まわしのようなリフがループする。
一見、難解な雰囲気を漂わせてはいるが、決してわかり難い作品ではない。
とはいえ最後まで聴くと、ちょっと疲れる…。

中には歌詞カードはなくハガキ大のライナーが1枚:フラワー・トラベリン・バンド『SATORI』
中には歌詞カードはなくハガキ大のライナーが1枚

ボーカルのジョー山中は、バンド解散の後、ソロで活動、1977年には角川映画で松田優作が主演した『人間の照明』のテーマソングを歌ってヒットさせた。
あの「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね? ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、 谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。」(by 西条八十)という、やつである。
余談だが、彼はプロボクサーの経験があり、芸能界でも喧嘩が強いことでも知られていた。
日比谷野外音楽堂でのライブでは全共闘のメンバー十数人と乱闘になりボコボコにしたという武勇伝を持つ。

スゴイのはAtlanticレーベルからの発売。
1970年に開催された大阪万国博覧会の出演中に共演したカナダのロックバンド、ライトハウスに誘われメンバーはカナダへ渡る。
地元でライブ活動を重ね評判を得た彼らはアメリカのアトランティック・レコードと契約し本作が発表された。

プロデューサーは、あの内田裕也。
恐るべし内田裕也である。

トラックリスト

  1. SATORI PART1(side 1) - 5:22
  2. SATORI PART2(side 1) - 6:56
  3. SATORI PART3(side 1) - 9:40
  4. SATORI PART4(side 2) - 10:53
  5. SATORI PART5(side 2) - 6:56

パーソネル

  • ジョー山中 - ボーカル
  • 石間秀樹 - ギター
  • 上月ジュン - ベース
  • 和田ジョージ - ドラムス

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