ビートルズ(The Beatles)の『ラバー・ソウル(Rubber Soul)』です。
前作の『HELP!』に続き、彼ら6枚のアルバムとして1965年12月3日にイギリスでリリースされました。
「もしかしたら『サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』は現代アートで『ラバー・ソウル』は印象派かもしれないな」と思ったことがある。
つまりは、このアルバムはそのぐらい、わかりやすくて誰が聴いても素敵だと思う曲で構成されているということだ。
「ドライヴ・マイ・カー」、「ノルウェーの森」、「ユー・ウォント・シー・ミー」、「ひとりぼっちのあいつ」、「ミッシェル」、「ガール」、「イン・マイ・ライフ」と人気曲がたくさん収録されているせいもあり、ビートルズのアルバムでは三本指に入る人気アルバムだ。
本当にアイディアにあふれた名曲が満載のビートルズの最良の部分が入っている名盤だと思う。
気をつけないといけないのはこのアルバムのタイトルは『Lover Soul(恋人の魂)』でも『Rubber Sole(ゴムの靴底)』でもなく『Rubber Soul(ゴムの魂)』だということだ。
日本人は、つい、『Lover Soul(恋人の魂)』だと勘違いしがちだけど…。
なおかつ、日本人には発音も難しい!
このタイトルは黒人のブルースミュージシャンがミック・ジャガーのブルースを聴き「プラスチック・ソウル」と揶揄したという話から由来している。
1965年に録音されたものだが、思いのほか録音の良いことに驚かされる。
ビートルズはこのアルバムから本格的にギター、ベース、ドラム以外の楽器をレコーディングで使いアーティスト志向を強め始める。
ちなみに2曲目の「ノルウェーの森(Norwegian Wood)」は、ノルウェーの森ともノルウェー製の家具を意味するともいわれる。
しかし、実際は『Paul McCartney: Many Years from Now』というマッカートニーの自伝によると「彼女の部屋に入ってみる、パイン材などのノルウェー産の木材でしつらえた部屋だった」ということを言っているらしい。
『ノルウェイの森』という大ベストセラーを書いた村上春樹は『雑文集』という本の中で、ジョージ・ハリソンのマネージメントをしているオフィスに勤めているあるアメリカ人女性から『本人から聞いた話』として、最初のタイトルは"Knowing she would"(「彼女がヤラせてくれると知っている)だったが、クレームがつき、レノンが咄嗟に"Norwegian Wood"に替えてしまったという話を紹介している。
またビーチボーイズのブライアン・ウィルソンは、このアルバムに触発されて『ペット・サウンズ』を作った。
するとポール・マッカートニーやビートルズのプロデューサーのジョージ・マーティンは『ペット・サウンズ』に触発されて『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を作ることになる。
ところで、ビートルズのアルバムは英国盤と米国盤では収録曲や曲順が異なっているものが珍しくないのは、ご存じだろうか?
本作もご多分に漏れずで米国盤には「ドライヴ・マイ・カー」「ひとりぼっちのあいつ」「恋をするなら」「消えた恋」の4曲が収録されておらず、かわりに、「夢の人」と「イッツ・オンリー・ラヴ」が収録されている。
トラックリスト(英国盤)
- ドライブ・マイ・カー(Drive My Car) - 2:25
- ノルウェーの森(Norwegian Wood[(This Bird Has Flown]) - 2:01
- ユー・ウォント・シー・ミー(You Won't See Me) - 3:18
- ひとりぼっちのあいつ((Nowhere Man) - 2:40
- 嘘つき女((Think For Yourself) - 2:16
- 愛のことば(The Word) - 2:41
- ミッシェル(Michelle) - 2:40
- 消えた恋(What Goes On) - 2:47
- ガール(Girl) - 2:30
- 君はいずこへ(I'm Looking Through You) - 2:23
- イン・マイ・ライフ(In My Life) - 2:24
- ウェイト(Wait) - 2:12
- 恋をするなら(If I Needed Someone) - 2:20
- 浮気娘(Run For Your Life) - 2:18