チック・コリア(Chick Corea)の『リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever)』です。
1972年の作品。
歴史に残る名盤ですね。
十代の頃に買った、ジャズ? のレコードは数少ないですが、本作はそうした中の1枚。
全編を通してチック・コリアのエレクトリック・ピアノがフューチャーされ「エレピもいいんじゃないの」と思わせてくれます。
高校生の頃はジャズの何たるかもよく知らず、自分にとってはクラシックより遠い存在でした。
当時のジャズに対してのイメージは、大人のための音楽、そしてジャズイコールカッコイイなと。
でも、聴いてもつまんないなと。
フリージャズなんかのせいもあったかもしれません。
そんな、自分にとってのジャズという音楽に風穴を開けたのが本作でした。
自分だけではなく、これまで、ゴリゴリのジャズに疲れたジャズファンやジャズを聴いたこともないという音楽好きをも取り込んだ作品だったと思います。
初めて聴いたときは、衝撃的だったなぁ。
「これが、ジャズなのか?」と…。
正確にいうなら、ジャズではなく、後に「クロスオーバー」や「フュージョン」といわれるようになった作品ですが…。
アルバム1曲目の「Return to Forever」は長尺かつ複雑な構成でとらえどころがなく、決して聴きやすい曲とはいえません。
そんな訳で普通の人には、あまり、おススメしません。
しかし、ピンク・フロイドで耐性のあった自分は「こういうのも悪くないなぁ」と。
緊張と緩和、そしてフローラ・プリムのスキャットや叫び声にも聞こえる楽器のような声が効いています。
おススメは3曲目の「What Game Shall We Play Today」でしょう。
この曲なら、誰にでもおススメできます。
南国の楽園を思わせるような軽やかで明るい楽曲。
ジャズというより、ポップスといっていいような感じすらします。
ヴォーカルのフローラ・プリムの歌声とジョー・ファレルのフルートの軽やかなこと。
この曲は、むかし日産のクルマのCMでも使われました。
カモメが海上を滑空するジャケットは、通称「カモメのチック」といわれデザインも印象的ですね。
(本当はカモメではなくカツオドリらしい…)
そんな訳で、ジャズはちょっと敷居が高いなという人は、試しに聴いてみてください。
追記:2021年2月12日
2021年2月9日、チック・コリアはがんで亡くなりました。
79歳だったそうです。
合掌。
トラックリスト
- Return to Forever - 12:06
- Crystal Silence - 6:59
- What Game Shall We Play Today(Corea, Neville Porter) - 4:30
- Sometime Ago - La Fiesta(Corea, Porter, Stanley Clarke, Joe Farrell) - 23:13
パーソネル
- チック・コリア(Chick Corea) - エレクトリックピアノ(Fender Rhodes)
- スタンリー・クラーク(Stanley Clarke) - ウッドベース(4)、エレクトリックベース(1-3)
- ジョー・ファレル(Joe Farrell) - ピッコロ、フルート、ソプラノ・サクソフォーン
- アイアート・モレイラ(Airto Moreira) - ドラムス
- フローラ・プリム(Flora Purim) - ボーカル、パーカッション