小曽根真とゲイリー・バートンのコンサートを観た。
会場は山形テルサという山形駅の西側にある席数800ほどの、中規模のホール。
開場は午後6時30分の開演は午後7時。
チケットは全席指定で一般券4,000円とかなり良心的。
実のところ小曽根真もゲイリー・バートンも、熱心なファンという訳ではない。
ピアノの小曽根真はテレビやラジオでは、よく観たり聴いたりするがCDは1枚も持っていない。
ビブラフォンのゲイリー・バートンはチック・コリアと競演したCDが2枚ぐらい。
とりわけ、ビブラフォンの入ったジャズはゲイリー・バートンのほかはミルト・ジャクソンのMJQ時代ぐらいしか聴いたことがない。
しかし、ビブラフォンというのはジャズのメインストリームではないが、たまに聴くと「ああ、いいな」と思わせるものがある。
開演時間を5分ほど回った頃、なにやら後方から拍手が鳴り出した。
ステージ向かって右側の通路からは小曽根真が左側の通路からはゲイリー・バートンが後方から歩いて登場。
自分の席はちょうど、左側の通路の隣だったのですぐそばをゲイリー・バートンがゆっくりと通り抜けていった。
ステージに上がり、挨拶が終わると二人にゆかりのピアニスト、チック・コリアの楽曲『Bud Powell』でオープニングが始まる。
演奏はPA通さない、生でのものだった。
小曽根真は、緩急のある演奏で前に出すぎず、後ろに下がりすぎずという印象。
師匠であるゲイリー・バートンを立てている。
それでも、ピアノに比べるとビブラフォンは音量で、少しばかり押されている感じがした。
これは、楽器の音質によるものも大きいかもしれない。
ピアノの輪郭のはっきりした音に比べ、倍音の効いたやわらかい甘い音色はビブラフォンは、やや分が悪い。
ゲーリーバートンは片手に2本のマレット(バチのこと)を持って、つまり4本のマレットをビブラフォンの上で自在に走らせる。
よく間違えないものだ…。
デュオで弾くユニゾンの速いパッセージの絡みなどを聴くと、すごいなぁと思わせる。
セットリストはファーストセットがチック・コリアの楽曲のほかにジャズのスタンダードナンバーや小曽根自身のナンバーなど。
10分ほどの休憩を挟みセカンドセットはラヴェルの『クープランの墓』をアレンジした楽曲から始まり、クラシックやラテンの楽曲とバラエティーに富んだものだった。
アンコールは1曲。
9時過ぎには終了。
ピアノとビブラフォンというクラシックとも親和性が高いデュオのせいもあるかもしれないが、全体にモダンなECM系のきれいなジャズといった感じ。
ちなみに今回は74歳になるゲイリー・バートンのラストツアーとなるそうだ。